柔道整復師が独立開業するには?準備の流れや年収、成功させるポイントを解説
柔道整復師の国家資格を取得すると、個人で接骨院や整骨院を構えて、独立開業することができます。平成30年時点における接骨院・整体院の数は、全国で5万件前後となっていますが、これはコンビニエンスストアに匹敵する数字です。つまり、かなり競争が激しい業界といえるため、独立開業を成功させたいなら入念な準備が必要となります。
そこで今回は、柔道整復師の開業の流れや開業した場合の年収の目安、開業を成功させるためのポイントなど、開業を目指す柔道整復師が知っておきたい基礎知識をまとめて紹介します。
目次
柔道整復師の開業には「施術管理者」と「実務経験期間証明書」が必要
柔道整復師として独立開業する場合、国家資格に加えて「施術管理者」の資格、および実務経験期間証明書というものが必要になります。
「施術管理者」とは
「施術管理者」とは、柔道整復師の施術にかかる療養費に対して、受領委任を取り扱うことができる資格のことです。わかりやすくいえば、健康保険が適用される接骨院・整骨院を開業するための届出になります。
施術管理者の要件について、以前は柔道整復師の資格だけでクリアできましたが、平成30年4月以降は実務経験期間証明書の提出、および施術管理者研修の受講も必要になりました。
実務経験期間証明書の入手方法
実務経験期間証明書は、柔道整復師として働いていた施術所の管理者に発行を依頼すれば入手可能です。厚生労働省により、証明書の様式や施術所の要件が定められているので、それに従って証明・発行してもらう必要があります。
実務経験期間の対象となるのは、柔道整復師の資格を取得してから、管理者のもとで実際に働いた期間です。この実務経験期間については、施術管理者の届出を行なうタイミングに応じて、段階的に定められています。届出が平成30年4月~令和4年3月なら1年間、令和4年3月~令和6年3月なら2年間、令和6年4月以降なら3年間の実務経験が必要です。
なお、施術所がすでに廃業しているといった理由で発行できない場合、働いていたときに受け取った給与明細、もしくは源泉徴収表が実務経験の証明として認められます。
施術管理者研修とは
施術管理者研修は、適切な保険請求を行なうこと、および質の高い施術を提供することを目的に実施されているものです。土日祝日の2日間を使って、16時間以上の研修が行なわれます。参加費用として2万円かかるほか、事前の申し込みが必要なことも特徴です。
近年、柔道整復師は高い人気を集めているため、研修にも受講者が殺到しています。会場によっては、申し込み開始から5~10分程度で満席になるという状況です。申し込みはインターネットから行ないますが、入力事項をあらかじめメモ帳に貼り付けるなど、すばやく入力できるようにしておきましょう。
【柔道整復師】開業までの流れと必要なスキル、資金は?
施術管理者の資格と実務経験期間証明書があれば、いつでも開業できるというわけではありません。資金・物件・スキルなど、開業に必要なものは他にもたくさんあるからです。
開業までの流れ
接骨院・整骨院を開業する場合、まず事業計画を立てることが大切です。どのエリアでどのような人を対象に施術を提供するのか、どのような競合が存在しているのかなど、考えるべきことはたくさんあります。そして、柔道整復師会に所属するかどうかも決めなければなりません。この団体は療養費の請求手続きを代行してくれるため、業務効率化を踏まえると所属することをおすすめします。
また、開業には当然ながら資金も必要です。資金を用意できたら、まず物件選びから始めましょう。立地条件はもちろん、雰囲気や地域事情を考慮することも大切です。物件が決まったら、内装工事や機材の導入を進めて、施術所として必要な環境を整えましょう。さらに、ホームページやSNSを使って、開業のお知らせを行なうことも忘れてはいけません。
これらの準備がすべて整ったら、最後に開業の届け出を行ないます。必要なのは保健所に提出する「施術所開設届」、地方厚生局に提出する「療養費の受領委任取扱いに係る申し出」、税務署に提出する「開業届」、各種共済番号の取得です。特に「施術所開設届」は、接骨院・整骨院を開設してから10日以内に提出しなければならないため、注意しておきましょう。
必要スキル
柔道整復師として独立開業するなら、施術に関する知識と技術はもちろん、マーケティングや経理のノウハウ、法令に対する十分な理解など、さまざまなスキルが欠かせません。また、スタッフを使いこなすマネジメント力、患者さんを呼び込む集客力や経営の手腕も必要です。
開業に必要な資金
接骨院・整骨院の開業資金は、1,000万円程度といわれています。施設の規模や立地条件によってかなり変動しますが、最低でも700万円前後は必要になると考えてください。資金調達が難しい場合、融資や助成金を活用することも検討しましょう。
独立開業した柔道整復師の年収はどれくらい?
独立開業後の年収については、設立した接骨院・整骨院の規模や売上、所在地の地域事情などによって大きく変動します。ただし、参考数値が出ているため、大まかに年収を算出することは可能です。
接骨院・整骨院の従業員として働く場合、年収300万円程度からスタートし、平均年収も約300~400万円となります。そこから実績や経験を積み重ねれば、昇給して年収もアップしますが、700万円程度が上限です。
一方、独立開業して働く場合、接骨院・整骨院の経営が軌道に乗れば、年収1,000万円超えを狙うこともできます。しかし、経営に行き詰まると、従業員として働くときより年収が低くなる可能性もあるため、リスクは高いといえるでしょう。
ちなみに、日本人の平均年収は令和2年9月発表時点で436万円となっています。
柔道整復師の独立開業には、失敗のリスクもある
近年、柔道整復師が増えていることにともない、柔整業界の競争も激しさを増しています。その影響により、廃業・倒産に追い込まれた接骨院・整骨院の数も年々増加しているため、独立開業はなかなか険しい道といえるでしょう。
実際、接骨院・整骨院の倒産件数を調べてみると、平成20年時点では27件でしたが、平成30年時点だと85件まで増加しています。10年間で約3倍に増えているうえに、令和元年以降も減少している様子は見られません。
このような状況になった原因としては、業界内の競争激化だけではなく、経営や集客に関するスキル不足、健康保険の療養費縮小、資金調達の難化なども挙げられます。
独立開業を目指しているなら、失敗のリスクがあることも知っておくべきです。
【柔道整復師】独立開業を成功させる4つのポイント
柔道整復師として独立開業を成功させるためには、質の高い施術を提供することはもちろん、経営状況の見直しや改善を図ることも大切です。そこで最後に、独立開業の成功につながる4つのポイントを紹介します。
患者さんに寄り添った対応を心がける
インターネットやスマートフォンの利用者が急増している現代。これまでは、ホームページを見て接骨院・整骨院を選ぶ人が多く存在しましたが、今後はホームページに加えて、SNSや口コミサイトをきっかけにする人も増えるでしょう。
SNSや口コミには、患者さんのダイレクトな意見が書き込まれます。そのため、丁寧な施術と説明はもちろん、受付でも親身に対応することを日頃から心がけ、患者さんの満足度を高めることが大切です。
患者さんの満足度が高まれば、SNSや口コミサイトを通じて自院の評判や強みが知れ渡り、集客にもつながります。
自院の経営状況について正しく把握する
独立開業を成功させるためには、まず自院の経営状況を正しく把握することが大切です。どんぶり勘定で経営していると、達成すべき売上や支出の流れがわからなくなり、思うように利益を上げることができません。
毎月の売上や1人あたりの施術単価、患者さんのリピート率といった数字を細かくデータ化し、経営状況を把握しましょう。
自院の経営課題を洗い出す
自院の経営状況をデータ化して把握できれば、解決すべき経営課題が見えてくるはずです。自院の経営課題を洗い出して明確化できれば、経営方針や集客方法を見直すきっかけが得られます。
そうすれば、次に実行すべき施策のアイデアも思い浮かびやすくなるでしょう。
経営の指標を設定し、課題解決に取り組む
自院の経営課題に対する施策を立案したら、指標を設定したうえで実行します。指標がないと施策の有効性をきちんと把握できないため、課題解決がスムーズに進みません。
また、経営課題が複数あるときは、優先順位をつけて順番に解決することが大切です。一気に解決しようとすると、かえって効率が悪化してしまいます。
柔道整復師の独立開業は、余裕を持って始めよう!
独立開業して接骨院・整骨院を経営する場合、施術の腕だけではなく立地条件や競合の存在など、さまざまな要素が絡み合ってきます。開業当初は思うような売上を出せなかったり、来院数が増えなかったりすることもあるかもしれません。
そのため、独立開業を考えているなら、少なくとも半年以上の運転資金は余分に用意しておきたいところです。余裕があれば経営に専念しやすいのはもちろん、精神的にも安定するので、施術や接客にも良い影響をもたらします。
また、独立開業を成功させるためには、SNSや口コミサイトでの評判を高め、経営課題の洗い出しと課題解決に取り組むことも大切です。経営や集客のこともしっかり考えながら、健全かつ安定した整骨院運営を目指しましょう。
柔道整復師の専門学校に通い、柔道整復師の資格を取得。
卒業後接骨院で4年間勤務し、その後サンキュー整骨院グループの創設メンバーとして働き始める。
現在は柔整業界を引っ張るサンキュー整骨院グループの人事として、
自らの経験をもとに柔道整復師として働く人のために有益な情報を発信しています。
サンキューグループでは、一方的に治療だけをするのではなく、
「患者さんが納得のいく治療+コミュニケーション」が大切だと考えています。
現在関東、関西を中心に全国で整骨院40店舗以上を展開中。
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