柔道整復師は将来性と安定性を兼ね揃えた職業として、近年特に人気を集めています。しかし、柔整業界の競争は激化しているため、将来性・安定性があると一概にはいえないのが実情です。また、仕事自体も決して楽なものではないので、国家資格の取得を考えているなら、資格を取る前に柔道整復師の実態についても知っておきましょう。
目次
柔道整復師になると苦労する?よくある悩みとは
柔道整復師になってから後悔することがないよう、想定される悩みや不安はしっかり把握しておくべきです。そこで、柔道整復師のリアルな意見をもとに、辛いこと・大変なことなどをまとめました。
技術面に自信が持てない
柔道整復師の主な仕事は、自分の手を使って患者さんを施術することです。そのため、解剖学や生理学といった知識だけではなく、柔道整復術をはじめとする技術もしっかり身につけなければなりません。
特に就業直後の慣れない時期は、自分の施術が本当に正しいのか、本当に症状を改善できるのかなど、技術面の不安を抱えてしまいがちです。そんな状態で施術すると、患者さんにも不安が伝わってしまうので、悪い印象を与える恐れもあるでしょう。
技術面での不安を解消するには、研修やセミナーに参加したり、独学で勉強に励んだりするなど、技術を磨き続ける努力が必要です。この努力を積み重ねることが、自信につながるのです。
体力がないと辛い
一般的なサラリーマンと違い、柔道整復師は立ち仕事が基本です。繁盛している整骨院・接骨院で働く場合、何時間も立ちっぱなしになることも珍しくありません。さらに、施術内容によっては力を加えたり、同じ体勢をとり続けたりする可能性もあるため、体力が求められる職業です。
また、たくさん施術をこなしていると、当然ながら疲れが溜まってきます。特に肩こり・腰痛・血行不良・腱鞘炎といった症状が起こりやすいため、患者さんだけではなく自分の身体をケアすることも、柔道整復師の大切な仕事です。
患者とのコミュニケーションが大変
柔道整復術では、人間本来の自然治癒力によって身体を改善します。症状が完治するまで、継続的な通院を求めるケースも多いので、患者さんとしっかりコミュニケーションをとって、信頼関係を構築することが大切です。そのため、他人と話すのが苦手だったり、過度に人見知りな人が柔道整復師になると、コミュニケーションの面でかなり苦労するかもしれません。
また、たくさんの患者さんを施術する中で、クレームが発生する可能性もあります。クレームを適切に処理できないと、自分だけではなく院全体の評価も下がってしまうため、接客能力や礼儀も大切です。
勤務時間が長い
整骨院・接骨院の診療時間はそれぞれ異なりますが、開始時間は朝9時あたり、終了時間は20時~21時あたりが一般的です。9~12時まで午前診療、3時間ほど休憩を挟んで15~16時くらいから午後診療といったケースが多く見られます。
基本的に労働時間は8時間以内に収められていますが、休憩時間を含めると実質的な拘束時間は11時間以上です。また、営業時間外でも清掃や後片付け、事務作業などが発生するでしょう。
独立開業後の経営がうまくいかない
柔道整復師として独立開業する場合、技術を磨くだけではなく、経営に関するスキルも身につける必要があります。開業するための資金や物件はもちろん、機材やスタッフも必要に応じて揃えなければならないので、雇われているときより苦労するかもしれません。
経営が軌道に乗れば高収入を狙えますが、逆に失敗すると借金などの負債を抱えることになるため、独立開業はハイリスクハイリターンです。
整骨院・接骨院が多すぎる
近年人気が高まっていることもあり、柔道整復師の数は年々増え続けています。2018年末の時点で柔道整復師の就業者数は約7万3,000人、施術所(整骨院・接骨院)の数は約5万軒です。
実際、柔道整復師や施術所の数は「需要に対して多すぎる」という意見も出るなど、柔整業界の競争はますます激化しています。それに伴い、就職難や廃業など厳しい状況に追い込まれている柔道整復師も存在するのです。
柔道整復師の魅力って何?

柔道整復師の仕事は大変ですが、それを踏まえても魅力ある職業です。柔道整復術の特性上、患者さんとの付き合いが長くなることもありますが、その過程で身体が改善する様子を確認できたり、感謝の言葉を得ることもあります。仕事の成果がダイレクトに伝わるので、やりがいを感じやすい仕事です。
また、独立開業しやすいことも柔道整復術の大きな魅力です。自分の頑張り次第で収入がアップしたり、事業を拡大したりできるなど、経営者ならではのメリットがあるでしょう。
柔道整復師の資格取得を考えているなら、仕事にやりがいを見出せるのか、自分に向いている職業なのかをよく考え、決断することが大切です。
柔道整復師は整骨院・接骨院以外でも活躍できる
柔道整復師の主な仕事は、整骨院・接骨院などで患者さんを施術することです。しかし、柔道整復術の技術・知識を活用すれば、他の業界で働くこともできます。例えば、スポーツトレーナーとして運動指導や身体のケアを行ったり、小顔矯正やO脚矯正といった美容施術に携わったりすることが可能です。また、著しい高齢化が進む日本では、介護業界で働く柔道整復師もたくさんいます。柔道整復師を目指すなら、活躍の場が多数あることも踏まえて検討してみてください。