受領委任とは?柔道整復師が知っておくべき保険の仕組み

柔道整復師になったら知っておくべき仕組みとして受領委任という仕組みがあります。受領委任は患者の負担を大きく軽減できる仕組みです。

今回は受領委任について詳しく解説していますので、よく知らないという方は、本記事で受領委任の取り扱い方法から実務経験期間証明書まで解説しますので、是非確認してみてください。

柔道整復師が認められている受領委任って何?

柔道整復師に認められている保険の仕組みに「償還払い」と「受領委任」があります。それぞれどのような仕組みか解説します。

償還払い

償還払いとは、整骨院を受診した際にかかった施術料を窓口で一度全額負担し、後日患者が加入している健康保険組合に患者本人が払い戻しの申請を行う方法です。

保険組合に申請して返金される金額は、被保険者の負担割合に応じて7割から9割となります。

被保険者が返金手続きを行ってから指定口座に入金されるまでには、数か月かかります。

受領委任払い

受領委任払いとは、患者が施術料を保険負担割合の金額のみ窓口で支払い、柔道整復師が代わりに保険組合へ療養費支給申請を行って払い戻しを受ける方法です。

受領委任払いは患者への金額的負担が減り、申請の手間も省けるため患者への利益が大きい方法です。

受領委任払いを行うためには、保険証の提示と「柔道整復施術療養費支給申請書」へのサイン、印鑑が必要となります。

保険証の提示が必要な理由は、保険証番号が各保険組合への申請時に必要となるためです。「柔道整復施術療養費支給申請書」は、委任状への署名ということになります。柔道整復師が、被保険者から委任されて申請したとする証明が必要となるため、必要となっています。

なお、「柔道整復施術療養費支給申請書」はレセプトとも呼ばれ毎月申請する書類のため、患者も月ごとに新たなサインと印鑑が必要です。

受領委任払いの問題点

受領委任払いは架空請求、付増請求、振替請求といった不正請求がされるという問題点があります。
受領委任払いの架空請求は、受診していないにもかかわらずサインを偽造し、以前の受信履歴から保険証番号を使用する事で療養費を請求します。

付増請求は、レセプトに記載する負傷部位を本来1箇所のところを3箇所と多くしたり、実際に受診した日数よりも多く受診した事にすることで、療養費を多く請求します。
振替請求は、肩こりなどの慢性的な痛みを急性期の外傷扱いとして療養費を請求します。

このような不正請求を防止するため、厚生労働省は保険者に対して、被保険者施術へ事実を確認する努力をするよう通達しています。そのため保険者は、実際に施術を受けたかや、日数、施術箇所の確認を被保険者に電話や通知で確認を取る事があります。

不正請求が発覚した場合、受領委任を原則5年間中止されるほか、厚生労働局のホームページにおいて不正を行った柔道整復師氏名、施術所の名前や住所が公表されます。
行政処分を受ける事で社会的に罰せられ、以後経営を行う事が難しくなる可能性があります。

柔道整復師が受領委任を取り扱う方法

柔道整復師免許を所持しているからといって、誰でも受領委任を取り扱えるわけではありません。柔道整復師として受領委任を取り扱うための方法を解説します。

受領委任を取り扱うには「施術管理者」になることが必要

受領委任の取り扱いができるようになるには、施術管理者になる事が必要です。この施術管理者になるための条件は2つあります。

1つ目は、実務経験とその証明書の発行です。
実務経験に必要な期間は、施術管理者届出を令和4年3月までに行う場合1年間です。令和6年3月までの届出の場合は2年、令和6年4月以降は3年の実務経験が必要条件です。
証明書は「実務経験期間証明書」という証明書なります。詳細については後述します。

2つ目は、施術管理者研修を受講する事です。
(公財)柔道整復研修試験財団が主催するもので、適切な療養費の申請と質の高い施術提供のために実施しているものです。

前提として柔道整復師免許を所持している事は当たり前ですが、上記2つの条件をクリアする事で自身が開設する整骨院での受領委任の取り扱いが可能となります。

実務経験期間証明書とは?

施術管理者になるために必要な一定の実務経験を証明するのが「実務経験期間証明書」です。実際に実務に従事した登録施術所の管理者が指定の証明書に勤務期間を記載し、自身の名前をもって証明します。

この証明書で虚偽の証明をした場合は、登録施術所の管理者の受領委任取扱いが中止または中止相当の処分を受けます。それほど重要な書類といえるでしょう。

しかし、例外もあります。
既に勤務していた施術所が閉鎖されていて管理者と連絡が取れない場合、実務経験期間証明書を提出する事ができません。

そのため、そのような場合は、勤務期間の給与明細や源泉徴収票を添付する事で証明する事も可能です。

施術管理研修とは?

施術管理者研修とは、(公財)柔道整復研修試験財団が主催する研修です。

全国各地で開催され、100名から200名が定員となり、2日間で計16時間の研修を行います。事前申し込みが必要なうえ受講費用が20,000円かかりますが、申込受付から数時間で定員となるほど人気が高い研修なっています。

なお、研修期間は2日間ですが、これは土日祝日を利用して連続で行われます。16時間の研修では、職業倫理、適切な保険請求、施術所管理、安全な臨床の4分野を受講します。

この研修により、施術管理者が適切に柔道整復療養費の支給申請を行うことや、質の高い施術を提供する方法をしっかりと学ぶ事ができるのです。

受領委任を正しく理解し、適切な請求を

柔道整復師の施術は保険が適応されます。その保険請求の方法には、患者が保険者へ請求する償還払いと柔道整復師が委任されておこなう受領委任の二種類があります。

償還払いよりも患者への負担が少ない受領委任は、不正請求の可能性がある請求方法といわれており、不正行為が発覚した際は社会的に罰せられます。

平成30年より受領委任の取り扱いができるのは施術管理者に限られました。施術管理者が適切に柔道整復療養費の支給申請を行い、質の高い施術が提供できるように研修と実務期間が設けられたのです。

柔道整復師免許を所持する上では、認められた保険制度を正しく理解して適切な請求を行う事も安全な施術をすることと同じように柔道整復師としての役割です。

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